Claude旧モデル一斉終了|Haiku 3は4月19日廃止、移行しないとAPI停止
「Claude 3.7 Sonnetが突然Bedrockから消えた。リグレッションテストの仕組みがないまま、本番のAIが別人になった」。LinkedInで開発者のMike Meadがそう投稿したのは2026年3月のことだ。コメント欄には「モデルの可用性が一貫しないこと自体が、ソフトウェアの信頼性を直接脅かす」という声が続いた。
これは他人事ではない。Claude Haiku 3の廃止期限は2026年4月19日。あと18日だ。
Anthropicは2026年に入ってからモデル整理を加速させている。Opus 3、Sonnet 3.7、Haiku 3.5は既に廃止済み。次はHaiku 3、そして4月30日にはSonnet 4.5/4の1Mコンテキストベータも終了する。移行しなければAPIリクエストはエラーを返す。
PMとして正直に言うと、モデルIDの文字列を差し替えるだけで済むと思っていた。実際はそうではなかった。ツールバージョンの更新、パラメータの破壊的変更、料金体系の変動。調べるほどに「これは計画的にやらないとまずい」と感じた。
この記事では、廃止スケジュールの全体像、移行先の選び方、実際のコード修正手順、そして料金変動のインパクトを整理する。
- Claude APIを本番環境で利用しているエンジニア・チーム
- Haiku 3を軽量タスクに使っていて、廃止通知を受け取った方
- Amazon BedrockやGoogle Vertex AI経由でClaudeを使っている方
- AIツールの運用コストを管理するPM・テックリード
廃止スケジュール全体像:何がいつ止まるのか
2026年に入ってからのClaude旧モデル廃止は、段階的に進行している。
| モデル | モデルID | 廃止日 | 状態 | 推奨移行先 |
|---|---|---|---|---|
| Claude Opus 3 | claude-3-opus-20240229 | 2026年1月5日 | 廃止済み | Opus 4.6 |
| Claude Sonnet 3.7 | claude-3-7-sonnet-20250219 | 2026年2月19日 | 廃止済み | Sonnet 4.6 |
| Claude Haiku 3.5 | claude-3-5-haiku-20241022 | 2026年2月19日 | 廃止済み | Haiku 4.5 |
| Claude Haiku 3 | claude-3-haiku-20240307 | 2026年4月19日 | 廃止予定 | Haiku 4.5 |
| Sonnet 4.5/4 1Mベータ | — | 2026年4月30日 | ベータ終了予定 | Sonnet 4.6 / Opus 4.6 |
Anthropicの公式ポリシーでは、一般公開モデルの廃止60日前までに通知するとしている(Deprecation Commitments)。Haiku 3の場合、2月19日に通知が行われ、4月19日が期限だ。
廃止日を過ぎたモデルIDへのAPIリクエストはエラーを返す。「deprecated(非推奨)」の段階ではまだ動作するが、「retired(廃止)」になった瞬間に止まる。本番環境でハードコードしている場合は即座に影響が出る。
移行先モデルの選び方と料金変動
料金比較:旧モデル → 新モデル
| 旧モデル | 新モデル | 入力単価 | 出力単価 | |
|---|---|---|---|---|
| Haiku | 3($0.25) | 4.5($1) | 4倍 | 4倍 |
| Sonnet | 3.7($3) | 4.6($3) | 据え置き | 据え置き |
| Opus | 3($15) | 4.6($5) | 67%減 | 67%減 |
※100万トークンあたりの料金(税別)。2026年4月時点。料金は変更される場合がある。
注目すべきは方向性がバラバラな点だ。
Haiku系は4倍の値上げ。Haiku 3を「安いから」という理由で大量に回していたプロジェクトは、コスト試算をやり直す必要がある。ただしHaiku 4.5はHaiku 3とは別物と言っていい性能だ。実際のGitHubリポジトリのバグ修正で能力を測るSWE-bench Verifiedでは73.3%を記録し、Sonnet 4.5(77.2%)に迫る水準に達している。
Opus系は逆に67%の値下げ。Opus 3時代は入力$15/出力$75と個人開発者には手が出しにくかったが、Opus 4.6は入力$5/出力$25まで下がった。性能はSWE-bench 80.8%でトップクラス。「Opusは高すぎる」という認識は更新すべきだ。
Sonnet系は据え置き。入力$3/出力$15のまま、性能はSWE-bench 77.2% → 79.6%と大幅に向上した。多くのプロジェクトではSonnet 4.6が最もバランスの良い選択肢になる。
コスト最適化の手段
Haiku系の4倍値上げが気になるなら、以下の組み合わせでカバーできる。
- プロンプトキャッシュ: 同じプロンプトの繰り返し利用で最大90%割引
- Batch API: 非リアルタイム処理なら50%割引
- 両方併用: 理論上最大95%のコスト削減
自分がPMとして試算した結果、Haiku 3で月$100だった処理をHaiku 4.5 + プロンプトキャッシュに移行した場合、月$120〜160程度に収まるケースが多い。4倍にはならない。
破壊的変更:モデルIDの差し替えだけでは済まない
移行で最も厄介なのは、モデルIDを変えるだけでは動かないケースがあることだ。以下の3つは必ず確認が必要。
1. ツールバージョンの更新
Claude 4系モデルでは、ツール(text_editor、code_execution)のバージョン指定が変更されている。
# 旧(Claude 3系で使用)
tools=[{"type": "text_editor_20241022"}]
# 新(Claude 4系で必要)
tools=[{"type": "text_editor_20250728"}]
# code_executionも同様: code_execution_20250825
旧バージョンのツールを指定したまま新モデルを呼ぶと、予期しない挙動やエラーの原因になる。
2. undo_editコマンドの削除
Claude 3系で使えたundo_editコマンドは、Claude 4系では削除されている。text_editorツールを使ったエージェントでundo_editを呼び出すコードが残っていると、エラーになる。
# このコードは Claude 4系でエラーになる
{"type": "tool_use", "name": "text_editor", "input": {"command": "undo_edit"}}
3. temperatureとtop_pの同時指定が不可に
Claude 3系ではtemperatureとtop_pを同時に指定できたが、Claude 4系ではどちらか一方のみ。両方指定するとエラーになる。
# 旧(Claude 3系では動作した)
response = client.messages.create(
model="claude-3-haiku-20240307",
temperature=0.7,
top_p=0.9, # 同時指定OK
...
)
# 新(Claude 4系ではどちらか一方のみ)
response = client.messages.create(
model="claude-haiku-4-5-20251001",
temperature=0.7,
# top_p は指定しない
...
)
その他の注意点
- output_format → output_config.formatに移動(旧パラメータも一時的に動作するが、将来的に削除予定)
- refusal stop reasonのハンドリング追加が推奨(新モデルは不適切なリクエストに対してrefusalを返すことがある)
- レート制限が別枠。Haiku 3とHaiku 4.5のレート制限は独立しているため、移行時に制限に引っかかることはない。逆に言えば、Haiku 3のレート制限実績は引き継がれない
移行前に確認すべき項目:
- モデルIDの変更(全ファイル横断でgrepする)
- ツールバージョンの更新
- undo_editの使用箇所を削除
- temperature/top_pの同時指定を解消
- output_formatをoutput_config.formatに移行
- テスト環境での動作確認(本番切り替え前に必ず実施)
実録:開発者たちの移行体験
移行がスムーズに進んだ人もいれば、本番障害を起こした人もいる。
スムーズだったケース。GitHub上のPositronプロジェクトでは、開発者のWinston ChangがAWS BedrockからのClaude 3.5 Sonnet廃止通知を受け取り、即座にPRを出して廃止モデルをIDEから除去した(posit-dev/positron#9339)。計画的に対応すれば、移行自体は大きな作業ではない。
痛かったケース。ブログ記事「Claude 4.6 broke our production agent in two hours」(Chanl.ai)では、prefillパラメータの400エラー、thinkingパラメータの非推奨化、output_formatの移動が同時に襲い、本番エージェントが2時間停止した。
ゼロ猶予だったケース。GitHub Copilotでは2025年10月にClaude Sonnet 3.7とOpus 4を含む複数モデルが移行期間なしで廃止された(Infolia AI)。エージェント設定やCIパイプラインにモデルIDをハードコードしていたチームは、突然の停止に見舞われた。
共通する教訓は明確だ。モデルIDをハードコードしない設計にしておくこと。環境変数や設定ファイルで外出しにしておけば、廃止通知が来ても1行の変更で済む。
PMとしての判断:どう動くべきか
自分ならこう動く。
即座にやること(4月19日まで):
- プロジェクト全体で
claude-3-haikuをgrepする - 該当箇所を
claude-haiku-4-5-20251001に差し替える - 上記の破壊的変更3点を確認・修正する
- テスト環境で動作確認する
4月中にやること:
- Sonnet 4.5/4の1Mコンテキストベータを使っている場合、4月30日までにSonnet 4.6またはOpus 4.6に移行する
- Haiku 4.5のコスト増をプロンプトキャッシュ・Batch APIで相殺できるか検証する
設計として見直すこと:
- モデルIDを環境変数で管理する(ハードコードしない)
- モデル切り替え時のリグレッションテストを整備する
- Anthropicの廃止スケジュールページをブックマークして定期確認する
LinkedInでNiall Keysが指摘していた通り、多くの障害は「プロバイダーの問題」ではなく「プロンプトを再調整せずにモデルだけ差し替える」ことが原因だ。移行は文字列置換ではない。新モデルの特性に合わせてプロンプトを検証し直す工程が必要だ。
Anthropic公式 廃止スケジュール
本番APIを利用中なら、今すぐ廃止対象モデルの使用状況を確認しよう。
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本記事の情報は2026年4月1日時点のものだ。APIの料金・仕様は変更される可能性がある。最新情報はAnthropic公式ドキュメントを確認してほしい。
Claude、Anthropicは Anthropic, PBC の商標または登録商標だ。Amazon Bedrock は Amazon.com, Inc. の商標だ。Google Vertex AI は Google LLC の商標だ。GitHub Copilot は GitHub, Inc. の商標だ。