Claude Sonnet 4.5廃止は11月30日|Sonnet 5.5移行でエラーになる7項目
「11月30日を過ぎると、事前入力されたデフォルトのまま作ったプロバイダー設定は、提供終了したモデルを指すことになる。ユーザーが気づいて手で直すまで、リクエストは失敗し続ける」
GitHubで公開されているAIボット「PinkyBot」のリポジトリに、2026年10月1日、olegbrokがこうIssueを立てた(GitHub Issue #1363、筆者訳)。原因はAnthropicが前日9月30日に出した1本の告知だ。Claude Sonnet 4.5(claude-sonnet-4-5-20250929)は2026年11月30日にClaude APIから退役(廃止)する予定だ。
PinkyBotだけではない。アプリ「HyperWhisper」のリポジトリにも同時期に、モデル選択画面がまだSonnet 4.5を表示しているというIssueが立った(GitHub Issue #1208、2026年10月2日)。デフォルト値、プレースホルダー、多言語ファイル。モデルIDは思った以上に色々な場所に散らばっている。
厄介なのは、推奨移行先のSonnet 5.5がSonnet 4.5の「書き方」をいくつも拒否する点だ。IDを書き換えただけでは、最初のリクエストで400エラーが返ってくる可能性がある。
- 期限: Claude APIのSonnet 4.5は2026年11月30日に停止予定(本記事の公開日から約8週間)
- 注意点: 移行先のSonnet 5.5では、モデル名を書き換えるだけだとエラーになる設定が7つある。エラーは出ないのに結果がおかしくなる落とし穴も3つある
- 料金: 単価は約3分の1安い。ただし設定を見直さないと請求額はむしろ増えうる。どうしても間に合わなければSonnet 4.6への暫定退避という手もある
- Claude APIでSonnet 4.5を本番利用している、または過去に組み込んだ記憶があるエンジニア
- 受託案件や自社ツールでClaudeを使っており、移行工数と請求額の変化を見積もりたいフリーランス
- 「APIが止まる」と聞いて、何をどこまで確認すればいいか知りたいPM・開発リーダー
Sonnet 4.5はいつ廃止?告知から退役まで61日
まず事実関係を押さえる。Anthropic公式のモデル非推奨ページによると、スケジュールはこうなっている。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象モデル | claude-sonnet-4-5-20250929 |
| 非推奨化(告知日) | 2026年9月30日 |
| 退役予定日(暫定) | 2026年11月30日 |
| 推奨移行先 | claude-sonnet-5-5 |
| 対象プラットフォーム | Claude API / Claude Platform on AWS / Microsoft Foundry |
| 退役後の挙動 | リクエストは失敗する |
Amazon BedrockとGoogle Cloudは「パートナー運営のプラットフォームとして独自の退役スケジュールを設定する」と明記されている。Bedrock経由で使っている人は、上の日付をそのまま当てはめず、AWS側のモデル一覧を確認したほうがいい。
告知期間の61日は短い。Mixed Newsのシェーン・エリソンは「Anthropicが自ら定める『公開モデルは最低60日前に通知する』という下限を、1日だけ上回った」と指摘している(Mixed News、筆者訳)。2025年9月29日の登場から約14か月での退役だ。
この流れは初めてではない。2026年に入ってからだけでも、Haiku 3、Sonnet 4、Opus 4、Opus 4.1が次々と退役した(経緯はClaude旧モデル一斉終了の記事にまとめた)。現役モデルにも退役日の下限が示されており、たとえばHaiku 4.5は「2026年10月15日以降」と記載されている。これは退役が決まったという意味ではないが、Haiku 4.5を使っている人は次の告知を想定しておいてよい。
Sonnet 5.5で拒否される7項目(IDの置き換えだけでは動かない)
表に出てくる用語を先に整理しておく。
- 400エラー: 「リクエストの書き方が不正」としてAPIが処理を拒否すること。アプリ側では機能が止まる
- prefill: AIの返答の書き出し(例:JSONの
{)をこちらで先に入れておき、出力形式を固定する手法 - temperature / top_p / top_k: 出力のランダムさを調整する設定値
- thinking: 回答前にモデルが内部で考える機能。adaptiveは「考える量をモデルが自動で決める」方式
- effort: その思考にどれだけ手間をかけるかを決めるつまみ(low〜max)。高いほど賢く、遅く、高くつく
- tool_choice: AIに外部機能(ツール)を使わせるかの指定。
any/toolは「必ず使え」という強制
AnthropicのSonnet 5.5移行ガイドは、移行元のモデルごとにチェックリストを用意している。Sonnet 4.5から移る場合にリクエスト自体が拒否されるものを抜き出すと、次の7つになる(6・7は条件や環境によって挙動が異なる)。
| # | Sonnet 4.5で使えた書き方 | Sonnet 5.5での扱い | 置き換え先 |
|---|---|---|---|
| 1 | assistantメッセージのprefill | 400エラー | 構造化出力、system promptでの指示 |
| 2 | temperature / top_p / top_k(非デフォルト値) | 400エラー | 削除してプロンプトで制御 |
| 3 | thinking: {"type": "enabled", "budget_tokens": N} | 400エラー | thinking: {"type": "adaptive"} + output_config.effort |
| 4 | thinking: {"type": "disabled"} | 400エラー | thinking: {"type": "between_tools"}(effortはhigh以下に限る) |
| 5 | tool_choice の any / tool(強制ツール呼び出し) | 400エラー | auto + ツール側に strict: true(Amazon Bedrockは auto のみ) |
| 6 | computer use の computer_20250124 | 受け付けない | computer_toolset_20260801(Claude API・Google Cloud) |
| 7 | output_format パラメータ | betaヘッダーなしだと400エラー | output_config.format |
自分が該当するかは、コード内で次の文字列を検索すればほぼ判定できる:temperature、top_p、top_k、budget_tokens、"disabled"、tool_choice、computer_20250124、output_format、そしてmessages配列の末尾が "role": "assistant" になっている箇所(prefill)。どれも見つからなければ、400エラーの心配は小さい。
prefillのエラーメッセージは「This model does not support assistant message prefill. The conversation must end with a user message.」だ。JSONの先頭 { をassistant側に入れて出力形式を固定する、という古典的なテクニックを使っていたコードはここで止まる。
5番の強制ツール呼び出しは見落としやすい。分類タスクで「必ずこのツールを呼べ」と tool_choice: {"type": "tool"} を指定していたなら、auto に変えたうえで、プロンプトに「いつツールを使うか」を書き足す必要がある。モデルがツールを呼ばずに答える余地が生まれるからだ。
PMとしての理解では、この7項目は「Sonnet 4.5時代の細かい制御ノブが、ほぼ全部 effort(思考の深さ)という1本のつまみに統合された」と読める。自由度は下がったが、設定の組み合わせ爆発は減る。好き嫌いは分かれるはずだ。
エラーにならないのに壊れる3つの落とし穴
400エラーは派手だが、まだ親切だ。本当に怖いのは、リクエストは成功するのに結果がおかしくなるケースだ。
1. thinkingがデフォルトで有効になる
Sonnet 4.5では、thinking フィールドを書かなければ思考なしで動いた。Sonnet 5.5は逆で、何も書かないとadaptive thinkingが走る。しかも思考テキストは既定で省略され、空の thinking ブロックとして返ってくる。
平たく言えば、AIの返答が「思考メモ」と「本文」の2つの箱に分かれて届くようになった。1つ目の箱だけを読むプログラム、つまりレスポンスの先頭を content[0].text で読むコードは、空っぽの思考メモを掴んでしまう可能性がある。
これを実際に踏みかけた例がある。開発者valorengelsは、Sonnet 5.5への移行にあたり、4か所の呼び出しを洗い出してIssueに記録した(GitHub Issue #3570、2026年9月29日)。4か所中3か所が content[0] を読み、うち2か所はさらに返答全体を json.loads していた。同Issueには「思考テキストが返されない場合でも、思考トークンは max_tokens に数えられる」(筆者訳)とあり、思考なしの前提で1024や2048に絞っていた max_tokens では返答が途中で切れる。
対処は3つ。content配列はtypeで判定して読む。max_tokens は思考分を見込んで引き上げる。思考を前もって走らせたくないなら between_tools(ツール呼び出しの合間にだけ短いメモを書くモード。Sonnet 5.5では思考を完全には切れないため、これが最も軽い設定)を送る。
2. 同じ文章でもトークン数が約30%増える
Sonnet 5.5はSonnet 5と同じ新しいトークナイザー(文章を課金単位のトークンに区切る仕組み)を使う。公式ドキュメントによると、Sonnet 4.5と比べて同じテキストが約30%多いトークン数になる(内容によって変動する)。文字数ベースで max_tokens やコスト上限を設計していたら、見直しが要る。
3. 画像のトークン消費が約2.5倍になりうる
Sonnet 5.5は高解像度の画像処理に対応し、長辺2576ピクセル・1枚あたり最大4,784トークンまで扱う。Sonnet 4.5は1568ピクセル・1,568トークンが上限だった。公式は「2000×1500の画像はSonnet 5.5で約2.5倍のトークンになる」と書いている。スクリーンショット解析やOCR的な使い方をしている人は、ここが請求額に一番効くかもしれない。
ほかにも、Sonnet 5.5では stop_reason: "refusal"(安全上の理由による応答拒否)が返るカテゴリが増え、Sonnet 4.5にはなかったリアルタイムのサイバー対策も入った。脆弱性診断系のツールを作っている人はサーバー側フォールバックの解説も合わせて確認しておきたい。
料金は安くなるのか:単価は3分の1安、放置すると請求は増える
単価だけ見ればSonnet 5.5は明確に安い。公式料金ページの数字を並べる(100万トークンあたり、米ドル、税別・日本の消費税等は別途、2026年10月6日時点)。
| 項目 | Sonnet 4.5 | Sonnet 5.5 |
|---|---|---|
| 入力 | $3 | $2 |
| 出力 | $15 | $10 |
| キャッシュ読み取り | $0.30 | $0.20 |
| Batch API(入力/出力) | $1.50 / $7.50 | $1 / $5 |
| キャッシュ可能な最小プロンプト | 1,024トークン | 512トークン |
ところがトークン数が約30%増えるので、同じ文章あたりの実質入力単価は「$2×1.3=$2.6」相当になる。Sonnet 4.5の$3と比べて約13%安い。思考を使わなければ、この「1割強」が実際の値下げ幅だ。
月間で入力1,000万トークン・出力200万トークンを使っていた案件で試算するとこうなる(筆者による仮定に基づく概算で、実際の請求額を示すものではない。トークン増加率は30%で固定)。
| Sonnet 4.5 | Sonnet 5.5(思考なし) | Sonnet 5.5(思考で出力が100万トークン増えた場合) | |
|---|---|---|---|
| 入力 | 1,000万×$3=$30 | 1,300万×$2=$26 | $26 |
| 出力 | 200万×$15=$30 | 260万×$10=$26 | 360万×$10=$36 |
| 合計 | $60 | $52 | $62 |
思考を野放しにすると、単価が下がったのに請求は増える。HighCirclの移行解説も「モデル名が変わったから請求額は変わらない、と思い込むな」と警告している(HighCircl、2026年10月1日、筆者訳)。
effortの選び方で結果は大きく振れる。Artificial Analysisの計測では、Sonnet 5.5はmedium effortでタスクあたり$0.59、max effortでは$7.60だった(max側の数値はNxCodeも2026年9月28日に報じている。計測条件はリンク先を参照)。Hacker Newsでもこの点は議論になり、usaar333は「Sonnet 5.5をhigh以上で使う意味はほぼない。Opusのlowで同等の性能を、同等かそれ以下のコストで得られることが多い」と書いた(Hacker News、筆者訳)。一方でricardobeatは「lowとmediumのeffortならSonnetは3分の1安い」、RussianCowは「SonnetはOpusより目に見えて速い」と、軽い用途でのSonnetの価値を擁護している。
公式ガイドの推奨は「基本はhighから。ただし仕様が明確なエージェント的コーディングやツール多用はmediumから始め、難しいタスクでhighへ。チャットなど遅延に敏感な用途はmediumかlow」だ。Sonnet 4.5にはeffortパラメータ自体がなかったので、明示的に指定しないと既定のhighで走る点は覚えておきたい。effortの性質はeffort設定と性能低下の検証記事でも扱っている。
5.5世代の料金とOpus 5.5との損益分岐は、Opus 5.5 & Sonnet 5.5の価格ガイドで試算した。
Sonnet 5.5への移行手順:自分(電脳狐影)ならこう進める
エンジニアではない自分がこの告知を受けたら、技術的な正しさより「11月30日に止まらないこと」を最優先に段取りを組む。順番はこうだ。
ステップ1:棚卸し(今週中)
Claude ConsoleのUsageページで「Export」を押し、APIキー別・モデル別の利用CSVを落とす。公式が推奨している方法だ。Sonnet 4.5の利用が残っているキーを特定したら、コードとは別に設定ファイル・環境変数・UIのデフォルト値も探す。PinkyBotの例が示すとおり、モデルIDは多言語のロケールファイルにまで潜んでいる。
# リポジトリ内のSonnet 4.5参照を洗い出す
grep -rn "claude-sonnet-4-5" . --exclude-dir=node_modules --exclude-dir=.git
ステップ2:機械的な置き換え(10月中)
Claude Codeを使っているなら、公式移行ガイドが案内している組み込みスキルが早い。
/claude-api migrate this project to claude-sonnet-5-5
モデルIDの差し替え、破壊的なパラメータ変更、prefillの置き換え、effortの調整までを提案し、手動確認用のチェックリストを出してくれる。公式ガイドによれば、編集前に対象範囲(ディレクトリ全体か、特定ファイルか)を確認してくる仕様だ。それでも提案内容は差分で確認し、実行前にブランチを切るかコミットしておくことを勧める。
Claude Codeを使っていない場合は、上の7項目と「エラーにならないのに壊れる3つの落とし穴」を手作業のチェックリストとして使えばいい。工数は該当箇所の数でほぼ決まる。
ステップ3:品質とコストの再計測(11月前半)
同じ入力セットをeffort medium・highの2段階で流し、出力品質とトークン数を比べる。公式も「budget_tokensとeffortの間に固定の対応関係はないので、2〜3段階で評価せよ」と書いている。
ステップ4:切り替え(11月20日までに)
退役日の10日前を自分の締め切りにする。障害対応の余白を残すためだ。
間に合わない場合:Sonnet 4.6への暫定退避
どうしても間に合わない案件には、Sonnet 4.6(claude-sonnet-4-6)を一時的な退避先にする手がある(性能はClaude Sonnet 4.6レビューを参照)。Sonnet 4.6はtemperatureも強制ツール呼び出しも受け付け、thinkingも既定で無効、トークナイザーもSonnet 4.5と同じ旧型だ。単価も入力$3・出力$15(100万トークンあたり、税別)で変わらない。ただしprefillはSonnet 4.6でも400エラーになるし、退役日は「2027年2月17日以降」とされているだけで、数か月後にまた同じ作業が来る可能性がある。自分なら、受託先との契約や検証期間の都合でどうしても無理な場合に限って使う。原則はSonnet 5.5へ直行だ。
正直に書くと、prefillで出力形式を縛っていた既存プロンプトを構造化出力に置き換えたとき、出力品質が同等に保てるかは、自分にも事前にはわからない。だからこそ、ステップ3の再計測は省略しないほうがいい。
- 期限: 2026年11月30日(Claude API / Claude Platform on AWS / Microsoft Foundry)
- 棚卸し: Console UsageのCSV、コード、設定ファイル、UIのデフォルト値、多言語ファイル
- 400エラー対策: prefill、temperature系、budget_tokens、thinking disabled、tool_choice any/tool、computer_20250124、output_format
- 静かな不具合対策: content配列をtypeで読む、max_tokens引き上げ、thinkingブロックはそのまま返す
- コスト対策: effortを明示(まずmedium)、トークン数と画像トークンを再計測
- 退避先: 間に合わなければSonnet 4.6(ただしprefillは不可)
- 上司への報告の型: 影響の有無(検索結果)/期限11月30日・社内締切11月20日/移行先Sonnet 5.5、間に合わなければ4.6で暫定対応/コストはeffort設定次第、11月前半に実測
Sonnet 5.5そのものの性能やOpus 5.5との使い分けはClaude Sonnet 5.5徹底解説にまとめている。この機会に移行先を比較検討するなら、同価格帯のライバルを扱ったGPT-6.1 Sol vs Claude Sonnet 5.5も参考になる。
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本記事の日程・料金・仕様は2026年10月6日時点の公式ドキュメントに基づく。退役日は「tentative(暫定)」とされており、Anthropicが変更する場合がある。料金は米ドル建て・税別で、為替や各クラウド事業者の価格設定により実際の請求額は異なる。試算は筆者による概算であり、実際のコストを保証するものではない。最新情報はAnthropic公式ドキュメントで確認してほしい。
本文中の英語文献・コメントからの引用は筆者による訳であり、意訳を含む。正確な表現は各リンク先の原文を参照してほしい。本記事はAnthropic, PBCおよび記事中の各社・各プロジェクトとは関係のない個人の見解である。
Claude、Claude Sonnet、Claude Codeは Anthropic, PBC の商標である。Amazon Bedrock、Microsoft Foundry、Google Cloud、GitHubほか、その他の製品名は各社の商標または登録商標である。