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Gaming 14分で読める

Slay the Spire 2 レビューボム全顛末|57万同接の神ゲーに何が起きたのか

この記事はこんな人におすすめ
  • Slay the Spire 2が気になっていて買うか迷っている方
  • レビューボム騒動の経緯を知りたい方
  • 早期アクセスの現在の評価を確認したい方
  • インディーゲームの開発者対応事例として参考にしたい方

「Slay the Spire but better。10/10 best game」。Steamのレビュー欄にはそんな言葉が並んでいた。2026年3月5日、『Slay the Spire 2』が早期アクセスを開始した。3日後の3月8日、同時接続プレイヤーは574,638人のピークを記録した(Alinea Analytics)。インディーゲームとしては異例の数字だ。

Alinea Analyticsによると、2週間の推定販売数は約460万本、推定収益は約9,200万ドルと試算されている(Alinea Analytics)。

そして3月19日。初回バランスパッチのベータ版が公開された翌日から、約1万件の低評価レビューが一気に押し寄せた。「圧倒的に好評」の文字が消え、一時「非常に好評」に変わった。

何が起き、どう収束したか。整理する。

基本情報

項目内容
早期アクセス開始2026年3月5日
価格$24.99(約3,750円)
ピーク同時接続数574,638人(3月8日)
推定販売数(2週間)約460万本
初期レビュー評価97%「圧倒的に好評」
現在の評価95%「圧倒的に好評」(35,828件)

出典: Alinea AnalyticsSteam Store

発売直後:「原作よりいい」の声が続出

2016年にリリースされたオリジナル版の続編は、プレイヤーの期待値を超えた出来だったようだ。

レビューサイトRogueLikerのMike Holmesは「早期アクセスとは思えない完成度だった。何時間でも続けられると感じた」と評した(Rogueliker)。

キャラクターについては「5体それぞれが明確に異なるメカニクスを持っており、どれから始めてもまったく違う体験ができる」と分析している。

新コンテンツは原作の正式版を上回る規模だ。カード575枚以上、レリック278個、ポーション63種。新キャラクター2体(Necrobinder、Regent)に加え、最大4人のオンラインco-opも初日から実装されている。

Steamのレビューには「10/10 best game」「Slay the Spire but better」という短評が大量に積み上がり、発売から1週間で97%「圧倒的に好評」に達した。

3月19日:約1万件の低評価が24時間で到着

ここで転機が起きる。

開発元Mega Critが、ベータブランチ(テスト用)で Beta Patch v0.100.0 を公開した。本番には未適用の、実験的なバランス変更案だった。

問題となった主な変更(公式パッチノートおよびPC Gamer、Kotaku報道より):

  • Preparedカード(Silentクラス): 0コスト・1枚捨て1枚ドロー → 1コスト・2枚捨て次ターンに2エネルギー獲得に変更
  • Doormakerボス: デッキから10枚目に引いたカードを永久除去する強化追加
  • Borrowed Time / Capture Spirit: それぞれ下方修正(ネーフ)

Preparedは、Silentクラスの「Sly」系ビルドの核となるカードだ。「Sly系ループビルド」とは、特定のカードを高速でサイクルし続けることで実質的に無限にターンを継続できる構築スタイルを指す。0コストが1コストに変わるだけで、このビルド全体が機能しなくなる。

Steamプレイヤー「Ghost14」は低評価レビューにこう書いた。「シングルプレイヤーのゲームで、強力なオプションをネーフして有効な選択肢を減らすのはやめてほしい。使われている戦略が強いのは、他の選択肢がそれより弱いからだ」(The Gamer)。

24時間で低評価レビューが約9,000〜10,000件に達し、「圧倒的に好評」が「非常に好評(83%)」に転落した。

なぜ中国プレイヤーが中心だったのか

低評価レビューの多くは中国語(簡体字)で書かれていた。理由がある。

中国向けSteamでは「コミュニティハブ」(掲示板・フォーラム)へのアクセスがブロックされている。開発者にフィードバックを届ける手段がSteamレビューしかない状態だ(PC Gamer)。

PC Gamerが指摘したように、中国プレイヤーはSlay the Spire 2のプレイヤーベースの3分の1以上を占める。コミュニティの意見を届けるために使える公式ルートがレビューしかない以上、バランス変更への抗議がそこに集中するのは構造的な問題でもある。

中国語のレビューには「バランス調整の仕方を知らないなら、やるな」という見出しのものもあった(vgtimes)。一部のプレイヤーは英語で「このパッチを本番に入れるつもりなら、このゲームを殺すことになる」とも書いている。

怒りの表現は過激だが、背景には「声を届けるチャンネルがない」という切実な事情がある。

開発元の対応:説明→撤回という誠実なフロー

3月21〜22日、Mega Critは公式コメントを発表した(PC GamerGosuGamers)。

「このベータパッチは、今後1〜2年にわたって行われる多くのバランス調整のうちの最初のものです」

「ゲームは常に変化し続けます。この進捗は直線的ではなく、いかなる変更も必ずしも永続的ではありません」

「最もためになるのは、実際にパッチをテストしているプレイヤーからのゲーム内フィードバックです」

そして3月26日、後続の ベータパッチ(v0.101.0相当) でネーフを実際に撤回した。Mega Crit公式X(旧Twitter)には次のような投稿があった。

「Prepared is back! So you can lower your Shivs 😅 いただいたゲーム内フィードバックは大変参考になっています」(Mega Crit 公式X、GamesRadar経由)

撤回内容: Preparedを旧仕様に戻す、Borrowed Time・Capture Spiritも撤回、Regent(最弱クラスと判定されていた)に大幅バフを追加、ゲーム内フィードバック文字数制限を500字から8,000字に拡大。

説明だけで終わらず、実際に変更を戻した。開発者とコミュニティの関係としては教科書的な対応といえる。

現在の評価:嵐のあとの「圧倒的に好評」

2026年3月末時点で、Slay the Spire 2の評価は全35,828件中95%「圧倒的に好評」で安定している。レビューボムの嵐は収束した。

Slay the Spire 2の現在地
  • Steam評価: 95%「圧倒的に好評」(35,828件)
  • 早期アクセス完成度: 「正式版と見間違うほどの完成度」(Rogueliker)
  • 今後の予定: 正式1.0は未発表。1〜2年かけて調整継続予定
  • ゲーム内フィードバック: 騒動後に文字数上限を8,000字に拡大

電脳狐影の判断

今回の騒動でいちばん興味深かったのは、「まだ本番に適用されていない」ベータパッチに対して1万件近い低評価が集まったという点だ。

変更案を出すたびにここまでの反応が返ってくるなら、開発者は相当やりにくい。それでもMega Critは「パッチは実験。永続的ではない」と説明し、実際に撤回した。コミュニティとの対話を続ける姿勢は評価できる。

一方で、中国プレイヤーがコミュニティハブにアクセスできないという構造的問題は、Steamの設計側の問題だ。フィードバックをレビューに集中させるインセンティブが働いている以上、似たような騒動は今後も起きるだろう。

ゲーム自体の質については、早期アクセスとしては破格の完成度だという評価が多い。原作ファンなら$24.99は合理的な判断だと思う。ただし、バランスは今後も大幅に変わる可能性がある。「ビルドが壊れること込みで楽しめる人向け」というのが正直なところだ。


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免責事項: 本記事は公開情報(海外ゲームメディア、Steam、公式SNS)を元に執筆しています。早期アクセスタイトルのため、ゲームの内容・評価・価格は変更される可能性があります。購入判断は最新のSteamストアページを参照してください。

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