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VS Code 1.128がClaudeマルチチャット対応|並列実行・フォーク・個別モデル選択を解説

ターミナルのタブに「claude」「claude」「claude」と同じ名前が3つ並び、どれが認証リファクタでどれがテスト書きだったか分からなくなる。並列でAIエージェントを走らせたことがある人なら、一度はやっているはずだ。海外の実践ガイドでも「2セッションまではタブ運用で回るが、それを超えると切り替えと追跡のオーバーヘッドが、並列化で稼いだ時間を食い潰し始める」と指摘されている(出典:CodeAgentSwarm「Can You Run Multiple Claude Code Sessions at Once?」。英語引用は筆者訳、以下同)。

その混沌に、VS Code本体が正面から手を入れてきた。2026年7月8日リリースのVS Code 1.128で、Claudeエージェントセッションがマルチチャットに対応した(出典:VS Code 1.128リリースノート、2026年7月8日)。一言でいえば、AIとの会話を「1つの仕事のまとまり」の下で複数同時に走らせ、まとめて管理できるようになったアップデートだ。

この記事はこんな人におすすめ
  • Claude Codeやターミナル並列運用で「タブ地獄」を経験したエンジニアの方
  • 実装案を複数並行で検討したいが、会話履歴の管理が面倒だった方
  • VS CodeのAI統合がどこまで進んだのか、ツール選定の判断材料が欲しいPM・リーダーの方
  • CopilotとClaudeの関係がどうなっているのか整理したい方
結論(忙しい人向け)

VS Code 1.128(2026年7月8日リリース)で、1つのClaudeセッション内に複数チャットを持てるようになった。チャットの追加、過去ターンからのフォーク、同時実行、チャットごとのモデル選択に対応し、再起動後もセッションごと復元される。散らばりがちだった並列作業が1セッションにまとまる一方、同時実行分だけ使用量消費は速くなる。まずはメイン実装+ピアでテストの2チャット構成から試すのが現実的だ。

VS Code 1.128のマルチチャットで何ができるようになったか

リリースノートの記述を整理すると、できることは4つある。

  • チャットの追加: 1つのセッション内に関連チャットを複数作れる
  • フォーク: 既存チャットの過去のターン(発言のやり取りの単位)から分岐し、別アプローチを試せる
  • 同時実行: 複数のチャットに同時にターンを送り、並行で作業させられる
  • 個別のモデル選択: チャットごとに履歴・タイトル・モデル選択を独立して保持する

ポイントは、これらの「ピアチャット」(セッション内の兄弟チャット)がトップレベルのセッション一覧に散らばらないことだ。親セッションの下にまとまり、VS Codeを再起動してもセッションごと復元される。冒頭の「claudeタブ3連発」問題への、構造レベルでの回答になっている。なおマルチチャットはClaude専用の機能ではなく、エージェントホストセッションの仕組みとしてCopilot CLIのセッションでも使える(出典:VS Code公式ドキュメント「Agents window」)。

公式の例が分かりやすい。メインのチャットがExpressアプリに/healthエンドポイントを追加し、ピアチャットが並行してそのテストを書き、フォークしたチャットが別の実装案を探る。1つの機能開発の「実装・テスト・代替案検討」が1セッションに収まる構図だ。

周辺の使い勝手も揃えてきた。エージェントウィンドウ(エディタとは別に、エージェントセッションだけをまとめて扱うVS Codeの画面)ではCmd/Ctrl+Tで新規チャット、Ctrl+Tabでチャット間の移動ができ、閉じたチャットはCmd/Ctrl+Shift+Tで開き直せる。セッション単位のディープリンクにも対応し、リンクを開くとワークスペースが立ち上がって特定のチャットに直接フォーカスする。サブエージェント(エージェントが内部で起動する子エージェント)の進捗を読み取り専用のピアチャットとして眺める機能もプレビューとして入った。サブエージェントの動きが見えにくい問題は入れ子サブエージェントの記事で書いた通りなので、可視化の方向性は素直にありがたい。

技術メディアのNT Compatibleは「単一のClaudeセッション内で複数のチャットスレッドを走らせられることが、今回の目玉だ」と評し、この統合がAnthropicのClaude Agent SDKを土台にしていると指摘している(出典:NT Compatible、Philipp Esselbach、2026年7月8日)。

紛らわしい点:Claude Code拡張のタブ機能とは別物

ここで整理しておきたいのが、Anthropic製のClaude Code拡張との関係だ。前提として、VS Code本体はここ半年ほど、Copilotに加えてClaudeのような外部エージェントを「エージェントセッション」として本体機能に取り込むマルチエージェント路線を進めている(出典:VS Code公式ブログ「Your Home for Multi-Agent Development」、2026年2月5日)。今回のマルチチャットはその延長線上にある。

一方、Claude Code拡張にも以前から「Open in New Tab」で複数の会話を並べる機能があり、フォークもチェックポイント機能の「Fork conversation from here」で可能だった。ただしこちらは会話同士が独立していて、タブを増やすほど管理は自前になる。

1.128のマルチチャットは、複数チャットが「1つのセッション」という親子構造にまとまる。PMとしての理解では、前者が「ウィンドウを増やす」発想、後者が「プロジェクトの下にワークストリームをぶら下げる」発想だ。仕事の管理単位として自然なのは後者で、Microsoftの設計思想の変化を感じる部分でもある。

興味深いのは、そのMicrosoftが社内のClaude Codeライセンスを大量キャンセルしたと報じられた当事者でもあることだ。報道の通りなら一部部門の社員には使わせない一方で、VS CodeはClaude統合を深め続けている。エディタのシェアを守るためにはユーザーが求めるエージェントを取り込むしかない、という判断だろう。このねじれを抱えたままの深い統合は、使う側にとっては単純に恩恵だ。

現場の声:並列運用の苦労は本物だった

マルチチャットはリリースから1日しか経っておらず、この機能自体の生の声はまだほとんどない。代わりに、この機能が解決しようとしている「並列運用の苦労」は、実践者が数多く書き残している。

MindStudioの解説は、大きなコードベースを2セッションが同時に抱えると「想定より早くレート制限(一定時間あたりの利用上限)に到達する」こと、worktree(Gitの作業ツリーを分離する仕組み)なしで同じファイルに同時に書き込むと競合が起きることを注意点に挙げたうえで、こう釘を刺す。「両方のセッションがあなたを常に必要とするなら、何も得ていない。並列セッションの価値は、少なくとも1つが最小限の監督で走ることにある」(出典:MindStudio「Claude Code Parallel Sessions」、2026年4月19日)。

日本語圏でも、MIXIのエンジニアがClaude CodeのVS Code統合を試し、差分表示機能で変更内容を詳細に確認でき、プロジェクト構造を視覚的に把握しながら開発を進められる点を利点に挙げている(出典:MIXI DEVELOPERS(Zenn)「Claude CodeのVSCode統合でAIチャットボット開発を体験してみた」、2025年5月)。ただ、並列度を上げた運用の定番は依然としてtmux(1つのターミナル画面を分割・多重化するツール)やworktreeの自前構築だった。Agent Viewの記事で書いた4〜8並列の落とし穴も、結局は「人間の把握が追いつかない」問題に行き着く。マルチチャットはこの把握コストを下げる打ち手であって、並列作業そのものを楽にする魔法ではない。

影の部分:前提条件・使用量・ファイル競合・レビュー負荷

前提条件と課金の紐付きが公式に明記されていない。公式ドキュメントはエージェントウィンドウの前提条件として「GitHub Copilotへのアクセス」を挙げている。ただしClaudeセッションの使用量がClaude側のどのプラン枠に紐づくのか、会社のCopilot契約だけで使えるのかは、正直に書くと公式ドキュメントから確認できなかった。ここが不明のまま業務利用を始めるのはおすすめしない。試す前に自分の環境のサインイン先と契約条件を確かめてほしい。

使用量の消費は速くなる。同時にターンを送れば、その分だけモデルへのリクエストが並行で走る。従来の並列セッションでレート制限への早期到達が報告されている以上、マルチチャットでも同じ力学が働くと見るべきだ。チャットごとにモデルを選べるので、代替案の検討やテスト生成は軽量モデルに割り当てる設計が現実的だろう。Claude CodeのデフォルトモデルがSonnet 5に切り替わった直後でもあり、実質コストの変化は自分の使い方で測ってほしい。

同一ワークスペース内のファイル競合の扱いは未確認。ピアチャット同士が同じファイルを同時に編集した場合の挙動は、リリースノートに明記が見当たらなかった。ここは自分でもまだ分かっていない。worktreeでの分離が引き続き安全策だと考えている。

人間のレビューがボトルネックになる。3つのチャットが並行で成果を出せば、レビューすべき差分も3倍になる。PMの実感として、並列化で詰まるのは生成側ではなく検収側だ。チャット数を増やす前に、自分が1日にレビューできる差分量を見積もっておいたほうがいい。

なお1.128ではマルチチャット以外に、Copilotのマルチモーダル対応(画像・PDFをペーストやドラッグで添付)が一般提供になり、管理者ポリシーの設定なしに無料プランを含む全プランに開放された。OSレベルで効くキーボードショートカット設定(systemWide: true)や、BYOK(自前のAPIキーでモデルを持ち込む方式)でのtemperature等の設定も追加されている(出典:VS Code 1.128リリースノート)。

自分ならこう使う:まず2チャット構成から

自分が試すなら、最初の1週間は「2チャット構成」に固定する。メインチャットで実装を進め、ピアチャットにはテストとドキュメントだけを任せる。フォークは「設計判断で迷ったとき」専用にする。実装を2案並走させて差分を見比べ、負けた案はチャットごと閉じる。これは今まで「会話をコピーして別ターミナルで再現する」という面倒な手作業だったもので、フォーク1回で済むなら使わない理由が見当たらない。

逆に、3チャット以上の同時実行は当面やらない。レビューが追いつかないのが目に見えているからだ。並列度を上げたくなったら、それは多分マルチチャットではなくCI・自動レビューの整備が先だと思う。

エディタ選定の観点では、VS CodeがClaude統合をここまで本体機能として磨いてきた事実は重い。Copilot中心だったVS Codeが、Claudeエージェントの母艦に変わりつつある。ツール全体の勢力図はAIコーディングエージェント比較の記事も参考にしてほしい。

VS Code 1.128は自動更新で順次配信されている。メニューの「Code > About Visual Studio Code」でバージョンを確認し、1.128になっていればClaudeセッションでチャットの追加とフォークが試せる。まずは今抱えているタスクを1つ選び、メイン実装+テスト担当の2チャット構成で30分だけ回してみてほしい。合わなければ1チャットに戻せばいいだけだ。

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免責事項: 本記事の情報は2026年7月9日時点のものだ。機能の提供範囲・仕様・使用量の扱いは今後変更される可能性がある。導入判断は公式リリースノートの最新情報を確認のうえ行ってほしい。記事中の製品名・サービス名は各社の商標または登録商標である。

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