EVO Japan 2026 スト6総括|7,168人制したヤマグチとギネス記録の舞台裏
「ヤマグチ優勝おめでとう!!!!」「Punkに勝ってくれて本当によかった」「7,000人超えてギネス!?格ゲー終わってないじゃん」。X(旧Twitter)が5月3日の夜、これらのポストで埋め尽くされた。
EVO Japan 2026のストリートファイター6(スト6)部門グランドファイナル。ZETA DIVISIONのヤマグチが、アメリカの強豪Punkを3-1で下して優勝した瞬間だ。参加者7,168人、ギネスワールドレコード認定、総賞金3,000万円。数字だけ見ても今回のEVO Japanがいかに異次元のスケールだったかが伝わる。
「ふわっとしたまま優勝した。まだ全然実感が湧いてこない」。ヤマグチがGAME Watchのインタビューで語った言葉は、勝利の重さとのギャップが印象的だった(GAME Watch)。
- EVO Japan 2026の結果と熱量を振り返りたい格闘ゲームファン
- ヤマグチ優勝やPunk煽り騒動の全容を知りたい人
- 日本のeスポーツシーンや格ゲーコミュニティに関心がある人
EVO Japan 2026:史上最大の格闘ゲームフェスティバル
EVO Japan 2026は2026年5月1日(金)〜3日(日)、東京ビッグサイト東ホール1〜3で開催された。プレゼンターはITエンジニア向け転職・フリーランスエージェントのレバテック。賞金総額は3,000万円で、EVO Japan史上最高額だ(EVO Japan公式)。
今回から登場タイトルが7本から12本に拡大。ストリートファイター6(SF6)、鉄拳8、ギルティギアストライヴ、グランブルーファンタジーヴァーサスライジング、餓狼City of the Wolvesなど、国内外の主要格闘ゲームがほぼ揃った。約40のブース出展も行われ、プロチームのDetonatioN FocusMeがEVO Japan初のチームブースを設けるなど、eスポーツイベントとして着実に規模を拡大している。
SF6部門のエントリー数は前年(2025年)の6,653人から7,168人へと増加。「単一の格闘ゲームにおける最大参加人数」のギネスワールドレコードが認定された(4Gamer)。
7,168人が競った記録の重み
日本のゲームコミュニティでは「格ゲーは死にゲー」と揶揄されていた時代もあった。それが今、単一タイトルで7,000人を超えるエントリーが集まる。ストリートファイター6がリリースされた2023年から続くシーンの盛り上がりが数字として結実した形だ。
世界最大の格闘ゲームトーナメント「EVO」(ラスベガス)でもSF6部門は毎年最大規模を誇るが、EVO Japan 2026のエントリー数はその水準に迫るものだった。ギネス記録の取得自体も、主催側の本気度を示している。
「格ゲーはオワコン」論に終止符を打つには、数字が最も雄弁だ。
ヤマグチ 13-0:マイで制した完全無敗の軌跡
今回の主役は間違いなくZETA DIVISIONのヤマグチだ。SF6部門7,168人のトーナメントを、セットを1本も落とさずに完全制覇した。最終成績は13-0。グランドファイナルではPunk(キャミィ)を3-1で下した。
使用キャラはマイ。2025年末に実装された新キャラクターで、火を操る華麗な立ち回りが特徴だ。ヤマグチはマイの特性を活かした柔軟なプレースタイルで、カプコンカップ12覇者のサハラを途中で撃破している。世界トップ選手を倒しながらノーセット落としという成績は、単なる「上振れ」ではなくヤマグチの地力の高さを証明している(4Gamer、Gaming Nexus)。
チームを率いるのはZETA DIVISIONのSF部門で、ヒグチや百地(モモチ)といった国内屈指の選手が在籍する。ヤマグチはインタビューで「ふわっとしたまま優勝した」と語り、「ヒグチさんやモモチさんをはじめ、一緒にやってきた人たちへの感謝しかない」と続けた(GAME Watch)。優勝の実感より感謝が先に来るあたり、この選手の素直さが出ている。
この結果でヤマグチはカプコンカップ13とEsports World Cup 2026(EWC 2026)の出場権を獲得。世界の舞台での活躍が次の注目点だ。
Punk煽り騒動と決勝の熱狂
今大会でSNSを最も沸かせたのがPunkに関する二つのエピソードだ。
一つ目は「屈伸煽り」。ルーザーズファイナル(敗者側決勝)のヒグチ戦で、Punkが相手への煽り行為として屈伸(しゃがみ立ち)動作を繰り返した場面が物議を醸した。ベテラン実況者・こく兄が「古参ゲーマーの見解」として動画でコメントするなど、コミュニティでは賛否が分かれた(YouTube)。
「心理戦の一部」と見る向きもあれば、「日本の会場でやる行為ではない」と批判する声も少なくなかった。Punk本人もその後、意図については説明しているが、評価は割れたままだ。
二つ目はプロポーズ。Punkがトーナメント当日、EVO Japan 2026の会場でパートナーにプロポーズしたことが報じられた(Game*Spark)。「結婚バフを背にTOP8へ挑む」と報じられ、会場では祝福ムードも生まれた。
この二つの話題を抱えてグランドファイナルに臨んだPunkを、13-0のヤマグチが3-1で制した。Xでは「溜飲が下がった」「ヤマグチありがとう」という投稿が多数見られた。煽り行為への批判がヤマグチへの声援に乗り移った形で、会場の熱量も普段のトーナメントとは一線を画した。
格ゲートーナメントの面白さは、こういった人間ドラマが毎回生まれることにある。
SF6以外の各タイトル結果
SF6以外のタイトルでも見どころは多かった。
鉄拳8部門では韓国のiKARiが優勝。グランドファイナルでは同じく韓国の絶対的ベテランKneeとの一騎打ちとなり、Kneeが3-1でリセットに成功したが、セットを変えた第2試合でiKARiが盛り返した。三島一八を操るiKARiと、対抗馬として三島平八に変更したKneeというドラマチックな展開を制したのは新王者だった(GAME Watch)。
ギルティギアストライヴ部門ではちゅらら選手が優勝。グランブルーファンタジーヴァーサスライジング(GBVSR)部門では傘兎(かさうさぎ)が2連覇を達成するなど、日本勢が各タイトルで存在感を発揮した(eSports World DAY2レポート)。
EVO Japan 2026全体のプライズプールは3,000万円(EVO Japan史上最高額)で、12タイトルにわたって分配された。
- 優勝: ヤマグチ(ZETA DIVISION) / マイ / 成績: 13-0
- 準優勝: Punk(FLY) / キャミィ / 決勝スコア: 1-3
- 参加人数: 7,168人(ギネスワールドレコード)
- 前年比: 6,653人 → 7,168人(+515人)
- 獲得権利: カプコンカップ13 + EWC 2026
※ 情報は2026年5月3日時点。
EVO Japan 2026が示す日本格ゲーシーンの現在地
7,168人という数字が示すように、スト6を中心とした格闘ゲームシーンは明らかに拡大している。ただ、手放しで楽観もできない側面がある。
光の部分: 参加者数の増加はプレイヤー層の拡大を意味する。入門障壁が下がり、カジュアルゲーマーが大会に参加しやすい土壌ができている。ヤマグチのような若手が世界強豪を打ち破る場面が増えており、層の底上げが実感できる。
影の部分: 一方でPunkの煽り問題が示すように、国際的な文化差や配信文化に起因するトラブルは依然として解消されていない。大会規模が拡大するほど、こうした問題が注目を集めやすくなる。また12タイトルへの分散でSF6以外の競技人口が可視化されたが、タイトル間の格差(SF6:7,168人 対 鉄拳8:880人以上)は大きく、格ゲー全体の盛り上がりとSF6特需を混同しないよう注意が必要だ。
それでも、ギネス記録を取得するほどの規模を達成したEVO Japan 2026は、日本における格ゲーの現在地を世界に示した大会として記憶されるだろう。
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※ 本記事の情報は2026年5月3日時点のものです。大会結果・賞金額・選手所属チームは変更される場合があります。公式情報はEVO Japan公式サイトをご確認ください。